第25章 4本の罪鍵
フェリドの言う強い奴とは真祖かリーグ・スタフォードのどちらかだろう。
あのキ・ルクの時とは強さが違いすぎる。
「深夜も変な吸血鬼に目をつけられたね」
同情してそう言いながら、深夜の顔を覗き込んだ。
フェリド
「それって僕の事?違うよねー?」
深夜
「間違いなく君の事だって…」
私の発言から始まった緩い会話。
この2人は意外と相性がいいのかもしれない。
もちろんそう言われても深夜は嫌がるに決まっている。
だから口には出さないで上にいるお兄ちゃんやグレン隊と合流すべく歩き始めた時だった。
フェリド
「あ、ちょっと待って」
深夜
「え?」
「?」
呼び止められて私と深夜は足を止める。
振り返るとフェリドは彼の前にいた。
「それ、どうする気?」
フェリド
「持って行くんだよ」
そう言ってフェリドが掴んだのはあの百夜教の男。
彼を引きずりながらフェリドはこちらへ戻って来る。
深夜
「本当にやる事が突拍子もないな…」
「慣れないと。長い付き合いになるらしいから」
深夜
「それは本当に遠慮するよ。僕には手に負えない」
また何かをし始めたフェリドに頭を抱える深夜に冗談を言うと、結構本気で返された。
でもフェリドは誰の手にも負えない吸血鬼だ。
それを知ったら更に頭を抱える事になりそうなので、私は敢えて教えなかった。
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