第25章 4本の罪鍵
クローリー
「アリス」
お兄ちゃんはフェリドから私へと視線を移して名前を呼んだ。
「ごめん。1つしか壊せなかった」
クローリー
「いや、助かったよ」
そう言ってお兄ちゃんは私の頭に手を置いてくれる。
確かにあの攻撃を2つとも破壊できていれば助けにはなったはずだ。
でも1つしか壊せなかったのに、お兄ちゃんはこうして感謝してくれる。
「その怪我は大丈夫なの?」
クローリー
「治りが悪いだけで本当にただのかすり傷だよ」
「それなら良かった…」
まだ深い傷を負わなかった事が不幸中の幸いだ。
もしまたこういう事が起きたら今度こそはちゃんと対応して怪我を負わせないようにしたい。
クローリー
「アリスは怪我してない?」
「私は大丈夫」
ミサイルも全て躱せたし、深夜の攻撃も短剣で上手く破壊できた。
だから私はフェリドと同じく無傷だ。
クローリー
「今怪我すると面倒な事になるから僕だけで良かったよ」
今の状況的に怪我をしても回復を待つ時間がない。
いつあの真祖となったシノアが戻ってくるかもわからないのだ。
油断はできない。
クローリー
「で、考え纏まったの?」
私と話し終えたお兄ちゃんは、私達の会話を笑顔で聞いていたフェリドへと視線を戻す。
フェリド
「うん」
十字架のナイフを丁寧にしまいながら頷いたフェリド。