第25章 4本の罪鍵
通常の攻撃なら吸血鬼の治癒能力で平気だが、鬼呪装備の攻撃なのでまともに当たるとダメージを受ける。
「…っ!」
だから短剣を取りだして虎を思い切り斬りつけた。
それでも距離があったせいで2つ破壊するのは不可能で、1匹の虎はお兄ちゃんへと真っ直ぐ向かっていく。
「お兄ちゃん!」
クローリー
「え、うわっ」
私の声に反応したお兄ちゃんだったが、避ける事はできなかった。
綺麗に顔付近に当たって爆発した深夜の攻撃。
「お兄ちゃ…!」
それに気を取られていると、新たな気配を察知した。
すぐに気配を感じた方を見る。
「3人、下から上がってくる」
美十
「…?百夜教兵!?」
私の声と視線で増兵に気づいた美十が戦闘態勢になった時だった。
クローリー
「………」
お兄ちゃんが剣を一振しただけで今やって来た百夜教の兵は全員殺されてしまう。
「さすが」
クローリー
「はぁ…」
残る敵は深夜が相手している男ただ1人。
それを確認してからお兄ちゃんは剣を下ろした。
ため息を吐くお兄ちゃんをよく見ると、顔に傷ができてしまっている。
クローリー
「ちょっと、怪我したんだけど」
フェリド
「ご苦労さま」
その不満をフェリドに伝えるが、フェリドは全く心が籠っていない言葉を返していた。
でも長い付き合いのお兄ちゃんがそんな事を気にする訳がない。