第9章 吸血鬼化
フェリド
「本当だ、それに君に逆らってここで生きていけるとは僕も思ってないし」
クルル
「…ふん」
真剣なフェリドを見てとりあえずは信じたようで、殺気が完全に消えた。
クルル
「だが、もしまたこの件を詮索したら…」
フェリド
「大丈夫、僕だって命は惜しいからね」
2人の意見が合致。
これで用は終わったとばかりにクルルは自分の前から消えるように命じる。
フェリド
「また来るよクルル」
言われた通り立ち去ろうとするフェリドは、アリスを担ぎあげて歩き始めた。
突如繋いでいた手の感触が消えた事で僕は我に返る。
ミカ
「何でアリスを…」
他の子供には見向きもせずにアリスを連れていくフェリドに向けて必死に声を出す。
まだアリスは意識を失っているだけで死んでいない。
そんな彼女がフェリドに何をされるのか不安でたまらなかった。
僕の声は力が入らないせいであまりに小さく、フェリドには届かない。
だが、その質問を僕の代わりにあの吸血鬼がしてくれた。
クルル
「その人間をどうする」
フェリド
「この子を飼おうと思ってね」
クルル
「お前が?凄くくだらない冗談…」
フェリドは1人の人間に固執しない。
だからクルルはそれを否定した。
クルル
「その子も天使(セラフ)?」
フェリド
「違うよ。強いて言うならミカくん達とは別のタイプで特殊な子」
またセラフという言葉が出てくる。
頭が回らない為、なんの事かすら考えられない。