第3章 地下都市
そのつもりだったのだが、できなかった。
ミカ
「アリス、眠いの?でもそろそろ起きよっか」
寝てしまう前にそう優しく言われては無視できない。
「うん、わかった…」
渋々体を起こすと傍に立っている2人と目が合った。
「おはよう。ミカ、優ちゃん!」
ミカ
「おはよ、ちゃんと起きれて偉いね」
笑顔で挨拶すると、ミカが頭を撫でてくれる。
まだ眠いけど頭を撫でてもられたから頑張って起きようと思えた。
優一郎
「おはよ。でも俺が起こそうとしても全然起きねーのな」
「えへへ…ごめんね」
優一郎
「いつもの事だから別にいいけどな…って、そろそろ行かないと吸血鬼連中がうるさいぞ!」
穏やかな時間は長く続かない。
優ちゃんが外を見て時間がないことに気がついたからだ。
私のせいで2人が怒られるのは嫌だから手早く準備を済ませる。
ミカ
「行ける?」
「うん!」
ミカ
「じゃあ行こうか」
手を繋ぎ、朝なのに薄暗い外へと飛び出した。
ここは吸血鬼の都市、地下都市サングィネム。
私達はここで暮らしている。
この地下都市に来たのは今から4年前の事だ。
突然世界は未知のウイルスによって滅びた。
吸血鬼が言うには人間のせいで致死性のウイルスが蔓延したらしい。
そしてそのウイルスの特徴は13歳以下の子供には感染しない事だ。