第3章 地下都市
だから大人の大半が死んでしまい、生き残ったのは子供達たけだった。
そんな居場所がなくなって途方に暮れた私達子供を保護したのはこの世界を統べる吸血鬼だ。
だが保護とは名ばかりで、吸血鬼にとって子供はただの血を貰う為の家畜でしかなかった。
一緒に家を出た2人の男の子もその時保護された子供。
黒髪でちょっと口が悪いのが優一郎(ゆういちろう)。
金髪の優しくてお兄ちゃんらしいのがミカエラ。
私は2人の事を優ちゃん、ミカと呼んでいる。
そんな2人の苗字はどちらも百夜(ひゃくや)だ。
でも彼らは兄弟という訳ではなく、百夜孤児院という所で一緒に生活した仲らしい。
そこの子供達は家族みたいに仲が良くて、みんな孤児院の名前を苗字にして名乗っている。
そんな彼らの関係が羨ましくない事もないが、私は小鳥遊 アリス。
百夜の子ではないのでその苗字を名乗るつもりも、その資格もなかった。
運良く百夜孤児院の子達と一緒に住む事になったが、私だけは家族じゃなくて友達。
それに私には昔の記憶が全くない。
家族の事を覚えていない私にとって、家族なんて最初からいない存在だった。