第3章 地下都市
だが、声が聞こえなくなった後も私の頭を占めるのはあの女が言った事だった。
優秀な被検体とは何の事なのか。
グレンとは誰なのか。
そしてこれは現実なのか。
優一郎
「おい、アリス!いい加減起きろって!」
「…ん」
色々と考えていたのだが、すぐ側で聞こえた大きな声で私の思考は止まった。
「…っ?」
意識は浮上したけれど眠くて目が開けられない。
だかり目を開けずにいたのだが、無情にも布団を剥ぎ取られてしまった。
それに驚き、ようやく目を開く。
優一朗
「あ、起きた」
「もう少しだけ…」
布団を剥ぎ取った張本人の声が聞こえて少し安堵する。
あれは間違いなく夢だったのだ。
安心した私はもう一度目を閉じる。
優一郎
「いや、起きねーのかよ」
声で呆れられているのが分かるが、もう少し寝させて欲しい。
ミカ
「ちょっと優ちゃん、乱暴に起こしたら可哀想だよ」
優一郎
「しょうがねーじゃん!こいつ全然起きねーし、それになんかうなされてたし…」
ミカ
「じゃあうなされてたから必死に起こしてたの?優ちゃんやっさしーい」
優一郎
「ばか!そんなんじゃねえって!」
寝るなら私から気が逸れている今のうちだ。
2人の声を聞きながら先程の続きを知る為に、夢の世界へと意識を飛ばし始める。