第24章 取り憑いた化け物
その言葉と同時に辺りに響いたのは激しい金属音。
フェリド
「わあ、びっくり。生きてたんだー」
笑顔を浮かべるフェリドの剣があっさり止められてしまった音だった。
私も間髪入れずに斬りかかる。
「くっ…」
バステア・イルクル
「おっと。もう1人いるのか」
バステア・イルクルはこちらを見ないまま剣を弾いた。
強さが違いすぎる。
そう判断して私はすぐに後ろに下がった。
フェリド
「君がいるって事は父さんも来てるのかな?」
バステア・イルクル
「お前には関係ないだろ。捨てられたんだから」
フェリド
「確かにね」
私が引いたのを見て、フェリドも後ろへと飛んだ。
それをバステア・イルクルが追いかける様子はない。
吸血鬼とは戦わないつもりなのだろうか。
フェリド
「しかし飼い犬は上から目線だなぁ。首に巻かれているリードを切ってやろうか」
でもフェリドは敢えて煽った。
この挑発には簡単に乗るタイプもいれば、全く相手にしないタイプもいる。
どう見てもこの吸血鬼は乗りそうにない。
バステア・イルクル
「できないよ、お前には」
私が予想した通り挑発に乗らないだけでなく、剣を構える事すらしないバステア・イルクル。
これは強さゆえの余裕にも感じる。
バステア・イルクル
「俺は第六位でお前は七位だ。勝ち目はない」
「…六位」
キ・ルクよりは弱い。