第24章 取り憑いた化け物
フェリド
「クローリーくん、ゴー!」
クローリー
「はいはい」
フェリドに言われてお兄ちゃんはすぐに深夜の元へと駆け出した。
これで深夜は助かる。
貴族
「!」
すぐに到着したお兄ちゃんはちゃんと貴族の攻撃を受け止めた。
自分の攻撃を防げる範囲には誰もいないと思っていた貴族が完全に油断していたからこそできた事だ。
貴族
「…クローリー・ユースフォードか」
クローリー
「バステア・イルクル。あなたは死んだと聞いたけど何故ここにいる?」
しかも両者、お互いの事を知っている。
私は知らない貴族だから死んだとされたのは私が吸血鬼になる前だろう。
フェリド
「僕らも行くよ。僕は後ろから攻撃するから」
「私が前?絶対に逆でしょ…」
指示が出たが、実力的にはどう考えても逆だ。
一応文句を言うが、フェリドは聞き耳を持たずにさっさと行ってしまう。
「…あの性悪吸血鬼」
時間を空けると前後から攻撃する意味がなくなるので、仕方なく私も短剣を構えて突っ込んだ。
バステア・イルクル
「お前こそ何故ここにいる?」
クローリー
「さて、なんでだろ」
お兄ちゃんと話していても警戒していない訳がないが、攻撃するなら今が最適だろう。
フェリドの攻撃で気が逸れた瞬間に頭部を狙う。
バステア・イルクル
「どうせ捨て犬フェリド・バートリーの使いだろう。つまり…」