第24章 取り憑いた化け物
悪すぎる状況に頭を抱えたくなった時に聞こえてきたよく知る彼の声。
入口を見ると、血まみれのフェリドが顔を出していた。
フェリド
「ちょっと人間代表チームの選択は間違いと思うな」
戦闘音が聞こえなくなったのはフェリドが勝ったからだったのだろうか。
それにしては何かがおかしい。
私以外もそう思っているからか、誰も何も言えなかった。
フェリド
「アドバイスする。みんなすぐ逃げろ」
「…フェリド!?」
私達に助言しながら姿を現したフェリド。
その姿を見て私は悲鳴の様な声で名前を呼んでいた。
フェリドは下半身がなく、その首をシノアに掴まれてここまで連れて来られただけだったのだ。
「…っ」
つまりフェリドとお兄ちゃんはほとんどダメージを与える事もできずに負けてしまっている。
しかも逃げろと助言したのはここにいるメンバーでは絶対に勝てないからだ。
でも動けば殺される。
そう思わせる程の重圧を真祖は放っていた。
シノア(真祖)
「やー、みなさん悪巧みですかー?」
暮人/深夜
「…!」
話し方はいつも通りのシノアの様だが、その声には別人かと思わせる何かがある。
フェリドの様子と乗っ取られたシノアを見て暮人も深夜も声すら出ていなかった。
シノア(真祖)
「ちょっと仲間に入れてくださいよー」
真祖の言葉を合図に辺りに幾つもの鎌が出現する。