第24章 取り憑いた化け物
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(アリスside)
グレン達がまだ先程の場所から移動していないと予想して、急いでそちらへと向かっていた時だった。
「え?」
お兄ちゃん達とは違う位置から聞こえてきた戦闘音。
どういう事かと不思議に思い、走りながらも耳に意識を集中する。
暮人
「轟け、雷鳴鬼」
ミカ
「ぐっ…」
「…嘘でしょ」
苦しそうに呻くミカの声を聞いてさすがに焦った。
今はそんな場合ではないし、早くしないとフェリド達だって危険なはずだ。
ミカ
「くそ!くそが!!」
グレン
「はしゃぐなガキ」
どうしてミカがグレン達に襲われているのかこの会話だけでは状況が掴めない。
グレン
「優がいなけりゃお前は独り、独りの奴なんて簡単に殺せる。お前じゃ何もできない」
「…!」
そして頭をフル回転していたお陰で今の会話の中で1つ気づけた事がある。
それは私とミカの関係性をグレンは知らないという事だ。
確かにグレンが来てから私はミカとほとんど会話をしていない。
「………」
もしミカが殺されそうになっているのなら私はグレン達ではなく、ミカを助けるだろう。
その為に私とミカに接点がないと思われているこの状況はかなり助かる。
そんな風に優先順位を決めた所で、私はグレン達がいる研究室の入口まで戻ってきていた。
「ふぅ…」