第24章 取り憑いた化け物
フェリド
「こりゃ、やばい。今日やっと僕は死ねるのかな〜?」
逃げるくらいならなんとかなると思っていた。
でもその考えはすぐに打ち消されてしまう。
シノア
「………」
それはクローリーくんの向こうで体を起こしているシノアと目が合ったからだった。
久しぶりに実感する死という1文字にさすがの僕でも顔が引き攣りそうになる。
フェリド
「あなたは真祖?」
シノア(真祖)
「だったら?」
先程と同じシノアの口から発されているはずの言葉も、別人かと思うくらいの冷たさを含んでいた。
普通ならこの圧に耐えられないだろうが、僕は笑顔を崩さずにいつも通りの態度をとる。
フェリド
「この目的はなんですか?」
シノア(真祖)
「目的とは?」
フェリド
「この全てですよ。滅亡した世界、不毛に争う人間達…」
真祖となったシノアと話しながらも慎重に動き出した。
また戦闘が再開する前に飛ばされた下半身と上半身の修復を開始する。
フェリド
「そして体が真っ二つにされてさえ死ねない」
クローリー
「うー」
フェリド
「首をはねられてすら死ねない」
声が聞こえてそちらを見れば意識が戻ったクローリーくんが既に首の修復を始めていた。
これで振り出しに戻ったも同然だ。
フェリド
「死ねない、死ねない。全然死ねないのに全く生きる目的も持てない吸血鬼達…」