第24章 取り憑いた化け物
フェリド
「まあ見てなって」
疑いの目を向ける私達にそう言ってフェリドは研究員達の間を通り、シノアの前へと歩み寄った。
フェリド
「やあ、シノアちゃん」
シノア
「っ、はぁ…」
フェリドの声を聞いて目だけそちらに向けるも、それ以外の反応はない。
苦しそうな呼吸を続けているだけだ。
フェリド
「体が死んで作り替えられていくのは苦しいでしょう?クローリーくんもアリスちゃんもその苦しみを味わってきたんだ」
「………」
クローリー
「………」
それは苦しませた本人が言うセリフではない。
だから私達は名前を出されても反応すら見せなかった。
フェリド
「助けてあげるよ」
笑顔で言い切ったフェリド。
フェリド
「その前にクローリーくんは僕のすぐ後ろにいて」
クローリー
「…?わかった」
お兄ちゃんにもフェリドの意図がわからない。
首を傾げながらもとりあえず配置に着いた。
フェリド
「アリスちゃんは外で待機。やばそうだったらすぐに日本帝鬼軍の人間と合流して」
「了解。グレン達と合流すればいいの?」
フェリド
「そうだよ。最悪囮くらいにはなってくれるでしょ」
それだけ危険という事なのだろう。
私は2人に比べて弱いからここでは戦力外という事だ。
「じゃあ外にいるから」
特に文句も言わずに大人しく研究室を出る。