第24章 取り憑いた化け物
フェリド
「どうする?」
「…何が?」
黙ってただその光景を見つめていた私にフェリドがしてきた質問の意味がわからない。
質問を返しながら顔を見ると、フェリドは楽しそうに笑っていた。
「楽しそうな顔してるしどうせ嫌な事言うんでしょ」
フェリド
「そんな事ないよー。ただ優ちゃんはアリスちゃんが大嫌いな人体実験をされちゃうんだよ?アリスちゃんは我慢できるの?」
「………」
やっぱりこの吸血鬼はろくな事を言わない。
もちろん優ちゃんでなくとも人体実験は嫌いだ。
でもこの場合は違う。
「…本人がやれって言ってるから私は関与しない」
これが無理矢理させられるという事なら止めに入る。
ただ今回は優ちゃん自身がシノアの為にやると言っているのだ。
それならこちらが何かする必要はない。
フェリド
「なるほどね〜」
「…何」
フェリド
「いや、アリスちゃんはミカくんより優ちゃんに執着してないんだなって思ってね」
確かにミカは今でも連れて行かれている優ちゃんの後ろ姿をじっと見ていた。
でも執着しているかどうかは自分ではわからない。
優一郎
「絶対にシノアを助けろよ!!できなきゃお前を殺す!!」
ミカ
「………」
最後に暴言を吐いてから優ちゃんの姿は完全に見えなくなった。
でもミカは姿が見えなくなってもそちらをずっと見ている。