第23章 帝鬼軍の首都
ここに居るのなら何故、先程逃げた私の所に来ないのだろうか。
疑問は残るが行った方が良さそうだ。
「行く」
深夜
「了解。でも次は逃げないでよ?2回も逃げられたら兄さん追いかけちゃいそうだから」
「…わかった」
追いかけられるのはそれはそれで困る。
それなら私に何の用があったのかだけでも話す方がいいだろう。
そう思って大人しくついて行くと、深夜の言った通り柊 暮人はいた。
暮人
「………」
ただ彼は手足を鎖で拘束され、俯いた状態でベッドに座っている。
これで深夜以外、つまり養子以外の柊の人間に何かが起きているという事がわかった。
深夜
「やあ、暮人兄さん。さっきぶりだね」
暮人
「深夜と…」
深夜に声をかけられ顔を上げた彼と目が合う。
暮人
「お前こそさっきぶりだな、吸血鬼」
「………」
普通に話しかけてくるが、私は特に反応を返さなかった。
やはりあの気配は先程より弱いけどそこにいる。
深夜
「そういえばこの子に何の用があったの?」
暮人
「言わなきゃわからないか?」
質問を質問で返された深夜。
でも文句を言わないあたり慣れているのもあるだろうが、何の用だったのかわかっているのだ。
「どうせこの目の事か深夜を助けた事についてでしょ」
だから想定していた用件を深夜の代わりに答えた。