第23章 帝鬼軍の首都
とても同じ人間を入れているとは思えない様なしっかりとした檻。
あの子が優ちゃんと同じ様に暴走する事があるのなら危険なのはわかる。
でもそんな危険な状態にされたあの子はどんな気持ちなのだろうか。
「人間とは一生わかり合えない気がする」
与一
「あはは…、でも人体実験には僕も反対だよ」
「そうなの?」
与一
「うん。確かに人類の為には必要かもしれないけどそれに子供を巻き込む事は特に許せない」
与一の声には抑えきれない怒りが滲んでいた。
ただこんな事を思うのは人間では少数派なのだろう。
案の定こちらの声が聞こえた研究員達がこそこそと何かを話している。
「………」
研究員1/研究員2
「っ!」
視線を向けると怯えた研究員達はすぐに逃げて行った。
逃げるくらいなら最初から言わなければいいものを、と思うが特に何も言わずに与一の袖を引っ張る。
「私達も行こ」
与一
「あ、うん!」
周りにいる研究員達の視線を気にせずに君月の元へと近づいて行くと、もう1つの部屋に気づいて驚いた。
「…与一」
与一
「どうしたの?」
「あれ」
与一
「!」
柊 征志郎が入れられている部屋と同じ作りの所に同じ様にベッドに拘束されている人間が見える。
あれはシノアだ。
与一
「どういう事かな…?」
「…聞いた方が早いんじゃない?」