第23章 帝鬼軍の首都
思わず私は黙ってしまった。
けれど知っている人が死ぬかもしれない危険な場所へ行くのを放っては、後で後悔するかもしれない。
「いいよ」
だからその提案を受け入れてしまったのだろう。
与一
「本当!?ありがとう…!」
「別にお礼を言われる程の事じゃないと思うけど…」
まさかそんなに喜ばれるとは思わなかった。
その喜びように戸惑ってしまう。
与一
「でもやっぱり不安だったから…」
君月
「…まあな。ここは拷問された思い出しかないし気持ちはわかる」
確かにそのような事があったと言っていた。
それは不安になるのも無理もないのかもしれない。
「じゃあ行こ」
ここは兵士の視線が痛い。
だから私は踵を返してさっさとビルの中へと戻った。
*****
兵士
「ここです」
与一
「ありがとうございます」
意外にも君月の妹の居場所はあっさり教えて貰えた。
この扉の先に妹がいるらしい。
「開けるよ?」
君月
「…ああ」
確認を取って扉を開く。
「何ここ…」
とても広い部屋には研究員とみられる人間達が大勢いた。
ただそれよりも気になったのは外から丸見えでベッドだけが置かれた部屋の様な空間。
拘束された男
「おい!出せ!!俺を誰だと思ってる!!」
与一
「あれって…」
そのベッドに拘束されている男が騒いでいた。