第23章 帝鬼軍の首都
私の予想は合っていた。
そもそもこんな滅茶苦茶な事を他の人達はやらないだろうから、気配がわからなくても想像できただろう。
与一
「それに柊が殺す気なら僕らとっくに…」
君月
「ああ、そうだな」
そう、彼らの言う通りだ。
吸血鬼は難しくとも人間と吸血鬼を離せば少しずつ殺していける。
でも柊 暮人はそう指示しなかった。
つまり吸血鬼はともかく、人間は殺す気がないといえる。
君月
「くそ…、どうせまた俺は妹を救えない」
与一
「でもそばに居ないと」
無力さを苦しむ君月を励ましたのは与一だった。
柔らかい声で君月に語りかけている。
与一
「帰ってきたって教えないといけないもんね」
君月
「ああ…ってお前」
話が纏まった時、彼らは私が出てきたビルの前に辿り着いていた。
そしてビルから移動していなかった私と鉢合わせたのだ。
与一
「もう用事は終わったの?」
笑顔で質問をしてくる与一。
「いいや、勝手に出て来たから」
君月
「おいおい、柊 暮人相手によくやったな…」
私の答えを聞いて2人は顔を引き攣らせた。
それ程までに彼の存在はこの2人にとって恐怖の対象なのだろう。
与一
「じゃあ中佐達はまだ中?」
「うん。誰も出て来てないよ」
中で何が起きているのか想像もしたくないが、少なくとも彼らはまだ生きている。