第23章 帝鬼軍の首都
死にかけたきっかけを作ったのもフェリドだが、彼がいなければミカが脱出の手掛かりを見つける事すらできなかった。
人間だった頃は幸せだったのかもわからないが、少なくとも今の私は幸せだ。
でもこんな事フェリドには絶対言わない。
言ったら調子に乗る事が目に見える。
「あ」
話していると1つの大きな扉の前に辿り着いた。
その前には兵士が1人立っている。
扉を守る兵士
「奥の実験場で柊 暮人様がお待ちです」
冷たい目をしたこの兵士。
先程外にいた兵士達とは実力は比べ物にならない。
扉を守る兵士
「入っていいのは一瀬 グレン様、柊 深夜様、柊 シノア様。そして…」
「………」
そこで言葉をとめた兵士の視線は私へと向けられた。
扉を守る兵士
「以前、柊 深夜様を助けた左右の瞳の色が違う女の吸血鬼も入れるように…との事です」
深夜
「…どうして?」
扉を守る兵士
「私は言われた事をそのままお伝えしているだけです」
私を呼ぶ必要性はなんだろうか。
情報が欲しいならフェリドやお兄ちゃんの方が適任なのは誰でもわかる。
この先は実験場だとこの兵士は言った。
だとすると他の吸血鬼にはない特徴を持つ私を調べたいのかもしれない。
扉を守る兵士
「他の方々には部屋を用意しております」
「だって、私はどうしたらいい?」
この場合判断はフェリドに任せるのが1番だ。