第23章 帝鬼軍の首都
そんなグレンの後を追い、続々と入っていく。
三葉
「………」
最後に三葉が後ろを振り返っているのが見えた。
多分姉を見ていたのだろうが、葵はこちらに興味すら示していない。
「…ここの人達といると息が詰まりそう」
クローリー
「人間はみんなこんな感じだよ」
フェリド
「吸血鬼と違って面倒くさい関係性だよね〜」
家族という言葉を大切にして生きているシノア隊を見ていたので勘違いしていたが、この姉妹のお陰で何となくだがわかってきた。
本当の家族ですらこんな関係なのなら仲間を家族として執着するのは1つの生き方なのだろう。
ただそれは吸血鬼の私には縁がない生き方だ。
三葉
「優、家族って言ってくれて嬉しかった。ありがとう」
優一郎
「だって家族じゃん」
吸血鬼は1人でも生きていける強さを持っている。
でも人間はそんな強さを持ち合わせていない。
「この人達と過ごして思ったけど…」
フェリド
「んー?」
「意外と人間より吸血鬼の方が良いのかもしれないね」
振り回される感情も人間と比べてほとんどないし、実力社会なので強ければそれでいい。
すごく単純な生き方だ。
フェリド
「それは窮屈な人間の生から解放してあげた僕に感謝しないと」
「否定はできないけど…」
フェリド
「でしょ?」
確かにフェリドがあの行動を取らなかったら私はもう死んでいる。