第23章 帝鬼軍の首都
三葉
「………」
そしてそのまま何も言わずに横を通り過ぎようとした時だった。
葵
「…三葉、よく生きて戻りましたね」
葵が三葉へと声をかけたのだ。
三葉
「あ…、お姉さま」
その言葉に三葉も足を止め、顔を上げて葵を見る。
葵は三葉のすぐ目の前まで来ていた。
葵
「裏切り者の居場所はここにはないのに何故死んでないの?恥ずかしくないの?」
三葉
「…あ」
葵は冷たい表情で質問をしていく。
怯えきっている三葉の首には葵の手がかかっていた。
優一郎
「おい、それはねぇだろ」
首を絞めていく手を止めたのは優ちゃん。
三葉
「優、いいんだ。逆らうな」
だが、その救いの手を三葉は拒もうとした。
それでも優ちゃんが引く訳がない。
優一郎
「三葉はお前の妹なんだろ?」
葵
「私に裏切り者の妹はいない」
三葉
「…っ」
優ちゃんの手を振り払い、淡々と答える葵。
意識が優ちゃんに向かった事で、三葉はプレッシャーから解放されたようだ。
優一郎
「三葉は裏切ってない。お前らが俺らを殺そうとしたんだろ」
葵
「だから?」
優一郎
「裏切ったのはお前らじゃねぇか!」
2人の言い合いは酷く正反対だった。
優ちゃんはヒートアップしていくが、葵は冷静に答えている。
葵
「柊家の為に三宮の人間は命を捨てる。我らは大義の為に命を捨てる」