第22章 第六のラッパ吹き
フェリド
「あは、まあ期待しててよ」
そう言ってフェリドは子供をあやす様に私の頭を撫でた。
そしてそのまま1人佇むミカの元へと歩いて行く。
ミカ
「………」
ミカは先程拾った十字架を手に考え込んでいた。
そんな彼は近づいてくるフェリドに気づいていない。
フェリド
「ミカくーん」
ミカ
「…!」
呼びかけられてようやく気づいたミカは、慌てて顔を上げた。
フェリド
「その天使から出てきたナイフ、僕のだからこっちにくれるかなー?」
ミカに向かって手を出しながら首を傾げるフェリド。
ミカ
「やらないと言ったら?」
渡さない、そう言われてもフェリドは笑みを崩さない。
怒るどころか逆に楽しそうに笑いながら距離を詰めていく。
フェリド
「僕の方が強いから無理矢理服を剥ぎ取って、いじめないでくださいーって言わせちゃうぞ」
ミカ
「………」
これは冗談でも脅しでもない。
フェリドなら寧ろ喜んで実行するだろう。
それはミカも分かっており、これ以上は何も言わずに十字架の形を模したナイフを渡していた。
フェリド
「ありがとねー」
フェリドもミカが大人しく渡す事を予測していたらしい。
いつもとは違い、余計な事を言わずに受け取った。
ミカ
「…お前らはいったい何の研究をしてるんだ」
だからかもしれない。
ミカはついフェリドへと聞いていた。