第22章 第六のラッパ吹き
手を彼の顔に当てて確認するが息もしていない。
つまり薬を使っての救出は不可能となる。
「………」
ただ眠っている様に見える彼の頬をそっと撫でた。
第六の天使
「…ん」
「…!」
その瞬間、天使がピクリと反応を見せる。
優一朗
「やった!おい、やったな君月!!」
君月
「…ああ、やった」
まだ目を覚ましてはいないが、実験は成功。
この実験で天使だった彼が死ななかった事に安堵した。
「…良かった」
鳴海
「なんだ!?」
だが安心する間もなく、耳に入ってきた鳴海の声に素早く立ち上がり周囲を警戒する。
「ヨハネの四騎士が消えてる?」
起こっていた異変。
それはヨハネの四騎士の消滅だった。
ヨハネの四騎士を呼び寄せていた天使が天使ではなくなったからだろうか。
フェリド
「さて」
そんな考察を立てていると、大人しくしていた彼の声が聞こえてきた。
フェリド
「厄災を振りまく天使がまた1人減って、僕らの手にも1本の鍵が増える」
「フェリド…?」
フェリド
「世界が激変するぞ」
宙を見つめながら話す彼に小さく問いかける。
フェリドは私に対して笑った。
フェリド
「アリスちゃん」
「なに?」
フェリド
「これから楽しくなるよ」
その笑みに今後の事を想像する。
「はぁ…」
絶対に楽しい訳がない。