第8章 貴族の遊び
「かはっ…」
強烈な痛みと共に私の目に入ってきたのは、赤に染まる優ちゃんの姿。
その赤が私の血だと気づくのにそう時間はかからなかった。
優一郎
「!」
優ちゃんは突然現れた私に驚き、目を見開いた。
でもすぐにフェリドへと視線を戻す。
フェリド
「………」
気がつくとフェリドは倒れていた。
私が庇った事が想定外だったからか、避けれずに銃弾は頭部に貫通。
優一郎
「やった…のか…」
そして優ちゃんが一息ついたと同時に私も崩れ落ちてしまう。
優一郎
「アリス!!」
「…っ」
銃を投げ捨て駆け寄る優ちゃんの瞳は、すぐに溢れそうなくらい涙が浮かんでいた。
そんな優ちゃんに答えてあげたい。
だが、痛みが酷く話せない。
目だけで傷口を確認すると、出血は止まりそうになかった。
私はもうダメだろう、そう確信するほど酷い怪我だ。
ミカ
「…優ちゃん…出口は…すぐ、そこだよ…」
優一郎
「そうだな、ほら逃げるぞ!」
ミカ
「そうしたいけど…僕は…いや僕達はもう……」
優一郎
「ふざけんな!!」
やっとここまで来たのに、優ちゃんは逃げない。
あくまで生き残っている全員で逃げようとしている。
吸血鬼
「いたぞ!!あそこだ!!」
優一郎
「!!」
「ゆ…ちゃん……は、やく…」
ミカ
「僕達を無駄に…しないで」