第8章 貴族の遊び
そのやり取りを遠くから見ていたフェリド。
フェリド
「君の血は美味しかったなぁ」
彼は返り血を浴びて赤くなった服に身を包み、笑っていた。
血の味を思い出したのか、唇をペロリと甜める姿に寒気がする。
フェリド
「……はは」
ミカ
「!」
次の瞬間に決着は付いていた。
フェリドは銃を持っていたミカの腕を払い除け、首を掴む。
そして素手でミカの左胸を突き刺した。
ミカ
「がっ…」
「!」
優ちゃんに手を引かれ逃げていたが、ミカの声に2人共立ち止まってしまう。
ミカの体から血が溢れていく。
優一郎
「ミカ!!」
優ちゃんは私の手を離し、駆け出した。
遅れて私も追いかける。
ミカ
「くっ…」
苦しそうに呻く声が聞こえる。
そして痛みに耐えるかのように歯を食いしばると、銃の照準を合わせた。
フェリド
「………」
だが、それにもフェリドは反応する。
銃を持つミカの右腕ごと斬った。
ミカ
「っ!!」
優ちゃんの目の前でミカの腕が下に落ちる。
ミカ
「…に…げて…」
話す事すら辛いのか、途切れ途切れの言葉を発した。
優一郎
「…っ!」
優ちゃんはその言葉に答えず、ミカの腕と一緒に落ちてきた銃を掴んでフェリドに向ける。
流石にそれは読めなかったのか、フェリドの表情に少し焦りが浮かんだ。
フェリド
「!!」
優一郎
「死ね」
その言葉と共に放たれた銃弾。
一瞬だけ勝ったと思ったが、先程ミカの命懸けの攻撃を読んだフェリド。
本当に予想出来なかったのかと疑問に思う。
嫌な予感がして優ちゃんとフェリドの間に飛び込んだ。