第22章 第六のラッパ吹き
薬が打ち込まれると苦しげに呻いた天使。
そして天使の体は胸元を何かに引っ張られる様にして飛んだ。
第六の天使
「があぁぁぁぁぁ!!!」
ミカ/優一朗
「…!!」
一際大きく叫ぶのと同時に、天使の胸元から何かが飛び出す。
あれが何なのかはここから見えない。
「………」
ざっと周囲を確認すると生き残っているヨハネの四騎士は僅かだ。
これならばもう私は戦わなくていいだろう。
そう判断して短剣をしまう。
そして天使から出た物が落ちた方へ向かおうとした時だった。
「あ!」
天使が急に力を失った様に落ち始める。
下には優ちゃんと君月がいるからどちらかが受け止めるはずだ。
だから私は落ちた物と天使の生死を確認する為に動き始めた。
ミカ
「これはなんだ…」
そう言いながらミカは落ちた物を拾う。
ミカの手元に意識を集中させると、その形だけは分かった。
「…十字架」
私は見た事が無い。
これは考えても分からないので、後でフェリドに聞くしかないだろう。
優一朗
「おわ」
君月
「どけ、優」
彼らも無事、天使を受け止める事ができていた。
慎重に寝かされた天使。
君月
「これ生きてっか?」
優一朗
「分かんねぇ」
不安げに話す2人の横にしゃがむと、胸元に顔を近づけた。
「………」
心臓の鼓動は聞こえない。