第22章 第六のラッパ吹き
フェリド以外には言われる事の無い言葉に動揺して思わず言い返そうとしたが、それどころではないとミカの声を聞いて我に返る。
第六の天使
「放せ」
「!」
声の方を見ると天使は地面へと落とされ、押さえつけられていた。
優一朗
「薬で…薬で抑えられるはずなんだ!!」
ミカ
「誰が持ってるの!?」
優一朗
「仲間が…」
薬を持っているのは君月。
先程行かせたので彼はすぐそこまで来ているはずだ。
優一朗
「ほら来た」
それを見た優ちゃんが笑う。
天使も本当にまずいと思ったのだろう。
第六の天使
「やめろ!!放せ人間共!!」
君月
「………」
ずっと淡々としていた天使が初めて声を荒らげた。
そんな悲痛な声を聞いて君月も、そして私も顔を歪める。
君月
「俺はこの注射でお前を殺すかもしれない。この薬がなんなのか、俺は知らないんだ」
そう静かに自身の迷いを告げた君月だが、彼は薬を打つ事ができるのか。
君月
「でも俺は進む。妹の為に」
心配になったが、君月は覚悟ができていた。
自分の行動で天使が死ぬかもしれない。
それでも彼は妹の為にやると決めていたのだ。
君月
「死んだら許してくれ」
第六の天使
「やめろ!!」
天使の静止は君月に届かず、首に薬が入った注射器が刺さる。
第六の天使
「が…、がああぁぁ」