第22章 第六のラッパ吹き
「早く行きなよ」
驚く2人にそれだけ言って私は戦闘に戻る。
フェリドとお兄ちゃんが動かないならここで1番強いのは間違いなく私だ。
「ふっ!」
この後にまだ戦いが待っている可能性は充分ある。
だからこそ戦力を残す為にも素早く倒していく。
グレン
「さすがの実力だな」
「!」
そんな私の横に並んだグレン。
彼も君月と一緒に優ちゃんの元へと向かったと思っていたので驚いてしまったが、すぐに意識をヨハネの四騎士へと戻す。
「これでも貴族なので」
グレン
「はは、月鬼ノ組に入るか?その強さなら歓迎するぜ」
本心で言っているのかは分からない。
なので深く考えずに即答した。
「遠慮するよ」
グレン
「いい話だと思うけど…な!」
グレンは更に1体殺しながらこちらへと笑顔を見せる。
その顔を見てさすがに冗談だったのだと分かり、私も笑顔を見せて言った。
「だめ。私は第十三位始祖のアリス、フェリド派閥の吸血鬼だよ」
グレン
「………」
「…何?」
黙りきってしまったグレン。
そういえば親しくもない相手に笑顔を向けて話すなんて私らしくなかったかもしれない。
そう考えるとじわじわと恥ずかしさが湧き上がってくる。
グレン
「いいや、そっちの方が年相応で可愛いじゃねぇか」
「可愛いって…!」
ミカ
「優ちゃん!!これどうするの!!」