第22章 第六のラッパ吹き
優一朗
「…君月!!」
君月
「!?」
優ちゃんが探していたのは君月だった。
突然呼ばれた君月は驚きながらも優ちゃんの方を見る。
優一朗
「俺が打たれた薬をあの天使に打つ!!それで救えればお前の妹も救えるはずだ!!」
君月
「!」
優ちゃんの言う薬とはフェリドが言っていた鬼の力を制御する薬の事だろう。
天使になっているらしい君月の妹の為、その薬をあの天使に使って救えるか試すつもりだ。
君月
「でもそれ以上力を使ったらお前は…」
優一朗
「俺達の仲間を、君月の妹を救うんだ!!」
君月も妹を助ける為にして欲しいはずなのに、優ちゃんの身を思って躊躇した。
でも優ちゃんは自分の身は気にしない。
優一朗
「家族に執着して俺は生きる」
「…家族」
その家族を助ける為に天使である彼が犠牲になるかもしれない。
それはいいのだろうか。
彼にも彼の事を大切に思う人がいたはずだ。
いや、この世界なら運が良ければまだいるかもしれない。
「………」
こんな事を考えても仕方ないし意味がないとも分かっている。
それでもその自分勝手さが気になってしまった。
優一朗
「鬼ぃぃ!!この欲望を喰ええぇぇぇ!!!」
そんな複雑な心境で見ていると、優ちゃんは更に鬼の力を解放して天使へと向かっていく。
ミカ
「ダメだって!!」
鬼の力を使いすぎてはいけない。