第8章 貴族の遊び
気が付くとフェリドは私の前にいた。
フェリド
「言っただろ?僕は君達の絶望した顔が見たいんだよ」
私の方を見てそう言う。
殺される、直感的にそう思った。
だが何故かフェリドは1番近くにいる私ではなく、私の少し前を走っていた子供の首を落とす。
「あっ…」
ミカ
「やめろ…」
その光景を見て、ミカは泣いていた。
ミカ
「やめてくれ!!」
そう叫ぶも、フェリドは止まらない。
次々と子供達が殺されていく。
私も子供達を守るために追いかけるが、吸血鬼の速さに全く追いつけない。
「茜!後ろ!」
茜
「あ…」
優一郎
「茜!!」
私の声に振り返ると、茜の目の前にはフェリドがいた。
茜は悲鳴を上げる事も出来ずに殺される。
無惨にも茜の血が飛び散るのが見えた。
フェリドは一切血を吸わない。
私達3人以外の子供をただ殺した。
「そんな…」
フェリドの1番近くにいるのは私。
早く優ちゃん達の元へ行くべきなのに、目の前で起きた惨劇に体が動かない。
近いとはいえ、フェリドは1番前にいた茜の所にいるから私とミカ達との方が距離が近い。
優一郎
「こっちに戻ってこい!」
「っ!」
優ちゃんに呼ばれてやっとで体が動いた。
急いで2人の元へと駆け寄る。
ミカ
「優ちゃん、銃を貸して」
優一郎
「…なんでだ?」
ミカ
「僕が体を張ってあいつを引きつける。だからアリスと一緒に逃げて」
ミカの目には怯えがなかった。
覚悟を決めたような表情で優ちゃんの手から銃を奪い取る。