第22章 第六のラッパ吹き
グレンとフェリドの方を最後に1度だけ見てからミカも与一と共に走り出す。
それに続く様に人間達は次々と外へと走って行った。
最終的にこの場に残ったのは私とお兄ちゃんとフェリドの3人。
「私達は?」
フェリド
「行くよ」
吸血鬼の足ならすぐに着くからだろうが、フェリドは動かずにゆっくりしている。
この調子なら外に出るまでもう少しかかるだろう。
「………」
優ちゃんと天使の戦いが単純に気になっているのだが、このままでは到着する頃には終わっているかもしれない。
「フェリド」
フェリド
「ん?」
呼びかけるとフェリドは疑問に思う事もなくこちらを向いた。
そんな油断しきっているフェリドの肩に飛び乗る。
フェリド
「え、ちょっ…」
「ごめんねー」
先程の事やいつもの仕返しも兼ねて遠慮なく足に力を入れて踏み台にした。
珍しく驚きながらもバランスを崩さなかったフェリドのお陰で私の体は天使が破った天井へと届く。
「ありがと。先行ってるから」
上から見下ろし2人に手を振ると、彼らもようやく外へと向かい始めた。
「さてと…」
外に出る為に屋根へと上がる。
上がって辺りを見渡すとすぐに2人を見つける事ができた。
「………」
話し声を聞こうと集中して耳を澄ますと聞こえてきたラッパの音色。
優一朗
「やめろ!!ラッパを吹くな!!」