第22章 第六のラッパ吹き
ミカ
「だめだ優ちゃん!!その力を使っちゃ…!!」
止めようと叫ぶミカだが、優ちゃんには届かない。
優一郎
「………」
優ちゃんはミカに答えず天使を追いかけて飛び立ってしまった。
そしてこの行動のせいで、ミカはまた冷静さを失ってしまう。
ミカ
「優ちゃんに何をさせようとしている!!これはなんの実験だ!!」
グレン
「………」
声を荒らげるミカにグレンは何も答えない。
フェリド
「大丈夫」
その変わりに返事をしたのはフェリドだった。
ミカは急いでフェリドへと視線を向ける。
フェリド
「あの天使は弱ってる。あれは吸血鬼よりも弱いよ」
これは嫌味ではなく、フェリドなりの優しさだと私は思った。
動揺しているミカを落ち着かせる為に教えた事だろう。
ミカ
「だからなんだ!!」
でもミカには伝わらなかったようだ。
嫌味と捉えたのか、今度はフェリドに食ってかかり始める。
ミカ
「お前らは優ちゃんに…!!」
シノア
「ミカさん!!」
そんな時、ミカを止めたのはシノアだった。
シノア
「私達も出ましょう!」
ミカ
「え…」
与一
「優くんを追いかけないと!!」
シノアに言われた事を聞いても戸惑って動けないミカ。
それを見た与一はミカの腕を引いて出口へと向かい始めた。
ミカ
「…っ」