第22章 第六のラッパ吹き
話が交わる気配など微塵もない。
第六の天使
「…ああ、壊れているのか」
それを察したのか、天使から少しだけ優しかった声色が消えてしまった。
第六の天使
「ならお前を殺そう。そうすれば別の塩の王が生まれる」
そう結論を出した天使。
第六の天使
「死ね、裏切り者」
冷たく言うと同時に天使から放たれた強烈な殺気。
それでも優ちゃんは怯えなかった。
優一朗
「俺はお前を救う」
その言葉を聞いた天使の手からヨハネの四騎士らしき物が飛んでくる。
それは優ちゃん目掛けて一直線に向かってきた。
優ちゃんは右手でラッパを、左手は刀の柄に手を添えて構える。
優一朗
「ふっ」
そして短く息を吐きながらいとも簡単にラッパで弾き飛ばした。
反撃するなら今が最大のチャンス。
優一朗
「………」
第六の天使
「!」
だが、優ちゃんが攻撃したのは天使ではなく天使を縛っていた鎖だった。
信じられない行動をとった優ちゃんに天使も驚いている。
第六の天使
「馬鹿め、我が軛をお前が破壊した」
優一朗
「救うって言っただろ」
第六の天使
「我がお前を救おう、狂った天使よ」
お互いがお互いを救いたがるおかしな状況。
第六の天使
「本来の使命を思い出させてやる」
優ちゃんは天使を人間に戻す為に、天使は天使としての使命を思い出させる為に動き始めた。