第22章 第六のラッパ吹き
でもこの質問は答えを求めていなかったのだろう。
聞くだけ聞いて、フェリドは視線を天使へと移す。
ミカ
「…何の話をしているんだ」
グレン
「だからお前の記憶を集めろって言ってんだろ」
戸惑うミカに淡々と告げるグレン。
グレン
「お前の事はお前が1番よく知ってるはずだ」
ミカ
「…僕は」
ミカは床を見つめて動かない。
いや、驚愕のあまり動けないのだ。
「………」
そんなミカに今までの私だったら寄り添ってあげたのだろうが、もうあの頃の私はいない。
ミカ達に執着するのは終わった。
そう自分に言い聞かせると、フェリド同様会話を始めた優ちゃんの方を見る。
優一朗
「…8年ずっと泣いてたのか?」
第六の天使
「なぜ僕に近づける?」
質問には答えず、質問で返した天使。
優一朗
「仲間だからだ」
優ちゃんはそんな天使を気にせず質問に答えた。
天使は仲間という言葉に反応を見せる。
第六の天使
「…何者だ」
そう言って優ちゃんをマジマジと見つめた天使は、何かに気づいたようだ。
瞳を1度だけ閉じて先程よりも優しい声色で問いかける。
第六の天使
「お前は第二のラッパ…塩の王か。なぜ世界を破壊しない?」
優一朗
「もう充分だろ。ラッパ吹くのやめろよ」
第六の天使
「人間は滅ぶべきだ」
優一朗
「お前を助ける」
話は平行線だった。