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罪と罰【終わりのセラフ】

第22章 第六のラッパ吹き




場の空気とは裏腹に楽しそうなフェリドは、結界へと手を伸ばす。


「っ!」


その瞬間、結界の中へと入った指が消滅した。


フェリド
「おー本当に吹っ飛んだ」


思わず顔を歪めてしまった私と違って、フェリドは落ち着いている。
痛みはあったはずだが、平然と笑っているフェリドに苦笑も浮かばない。


フェリド
「ところでさ、ここにはもう1人天使っぽい名前の奴がいるよねぇ」


そう言って彼が見たのはミカだった。


フェリド
「ミカエルだかミカエラだか誰がつけた名前だろうか。これも天使くんなのかな?」


全員の視線がミカに集まる。
視線の先にいるミカは意味が分からないと言わんばかりの顔をしていた。


フェリド
「でもミカエラは君だけじゃないんだ」

ミカ
「………」

フェリド
「ずっと昔、本当に凄い昔にね。まだ人間だった僕は斉藤にそう名付けられた事がある」


お兄ちゃんの顔を伺うと、真剣に話を聞いているのが分かる。
この話はお兄ちゃんですら本当に知らない話なのだろう。


フェリド
「僕は選ばれたんだってさ。今日から僕はミカエラだって、天使くんだって」

ミカ
「…お前は何を言っている」

フェリド
「でも僕は捨てられた」


ミカの呟きにフェリドは答えない。


フェリド
「で、今は君がミカエラなのかな?」


それどころか、ミカに対して質問をした。
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