第22章 第六のラッパ吹き
フェリド
「もしくは翻弄かな?」
「………」
クローリー
「………」
そう言ってどんどん向こうに行ってしまうフェリド。
お兄ちゃんと顔を見合わせると、私達もその後ろに続いた。
シノア
「………」
人間達は着いてきているのか、後ろをチラリと見る。
彼らは入口近くで立ち止まっていた。
様子を見ているのか、現状を把握しようとしているのかは分からない。
フェリド
「とにかく超大な計画なんだ。気の遠くなる程壮大な計画」
そこまで言ったフェリドは、傍に来た私を引き寄せた。
フェリド
「知ってる?僕とクローリーくん、そしてアリスちゃんもその斉藤って奴に吸血鬼にされたんだ」
私の頭を撫でながらされた発言。
それに驚いたミカが僅かに目を見開いた。
クローリー
「いや、僕はフェリドくんに利用されただけだけど」
「私もフェリドがやっただけでしょ」
でもそれは事実とは異なる。
だからはっきりそう言ったのだが、そんな空気の読めない発言にフェリドが文句を言いたげな視線を向けてきた。
フェリド
「君らは黙っててよ。話がこんがらがるからさー」
クローリー
「別にいいけど不満だね」
フェリド
「あはは」
お兄ちゃんは文句を言いながらも黙る。
私もちょっと言いたかっただけなので、特に文句を言う事もなく大人しくした。