第22章 第六のラッパ吹き
分かったという意味で頷くとフェリドはゆっくりと手を外した。
ミカ
「斉藤さんは…」
グレン
「吸血鬼、第二位始祖だ。もう教えただろ」
いつもの冷静さがなく、ここまで近づいているのに気づかないミカ。
どう考えても様子がおかしかった。
でもフェリドから止められているのでただ黙って聞く事しかできない。
ミカ
「でも目が赤くなかった」
グレン
「へぇー、だから?」
目が赤くない吸血鬼。
そんなのは私以外は知らない。
だからか、ミカはその斉藤という人物が吸血鬼だという事を否定しているようだ。
ミカ
「…優しかった」
グレン
「ははは」
ミカ
「…くそ」
受け入れようとしないミカを嘲笑うグレン。
そんな彼にミカは悪態をつく。
ミカ
「斉藤さん…いや、斉藤は何を企んでいる?」
だが笑われたお陰で少しは頭が冷えたらしい。
ミカは隠しきれなかった動揺を隠して質問をした。
グレン
「さてね、何千年も生きてる吸血鬼の考えてる事なんか分からねーよ」
ミカ
「だがお前は斉藤と繋がってるんだろ?」
分からないと言うグレンだが、ミカは信じない。
だから更に問い詰めた時だった。
フェリド
「利用されてるだけだよ」
そう声をかけながら、目の前にいたフェリドがゆっくりと近づいていく。
ミカ
「フェリド!!」
驚いたミカの声が響いた。