第22章 第六のラッパ吹き
お兄ちゃんとフェリドが初めて会ったのは確か800年程前だった。
「いつから長くしてるの?」
フェリド
「ずっと昔、人間だった頃からかな」
「………」
人間だった頃のフェリドを想像する。
今のフェリドは笑顔で残虐な行為をし、人の嫌がる顔が大好きな吸血鬼。
これが吸血鬼になってからなった性格だとすると、昔のフェリドはもっと優しい人間だったかもしれない。
「…いや、全然想像できない」
フェリド
「何が?」
「フェリドが人間達だった時の事」
私がそう言うと後ろから確かにという声が聞こえてきた。
短い間接しただけの人間にもそう思われてしまうフェリド。
この短い間で彼らに何をしたのかは知らないが、相変わらずだと呆れてしまう。
フェリド
「さてと、楽しかったお喋りはそろそろ終わりにしようか」
そう言って立ち止まったのは1つの部屋の前。
フェリド
「ここから先は真面目な話の始まりだ」
フェリドによって開かれた扉を通り、中へと入る。
すると私がよく知る声が聞こえてきた。
ミカ
「…優ちゃんに僕、そして茜もみんな斉藤さんが連れてきた」
グレン
「じゃあもう放せよ」
何の話をしているのかフェリドに聞こうとすると、口に手を当てられる。
フェリド
「………」
顔を見てもフェリドは何も言わない。
恐らくこれは黙っていろという事だろう。