第21章 囚われの天使
でも何かを察したのか、優ちゃんは黙って着いてきてくれた。
お互い黙ったままエレベーターへと乗り込む。
優一郎
「みんなも上?」
ミカ
「うん。だから全蘇生の話は上でしない方がいいよ」
エレベーターに乗って気が緩んだら優ちゃんはすぐに話しかけてきた。
だからグレンが言っていた注意事項を今の内に伝えておく。
優一郎
「ああ、そうだった。蘇生した奴はそれ聞いたら消滅しちゃうんだっけ?」
ミカ
「あいつの言う事を信じるならね」
グレンの事は全く信じられない。
でも信じないからと伝言を伝えなかったり、嫌がる事をしようとは思わなかった。
優一郎
「ミカ、グレンの話信じてんじゃん」
ミカ
「信じてないよ」
優一郎
「信じてないのに約束は守るのか…やっぱミカは優しいな」
優ちゃんはそんな僕を優しいと言う。
吸血鬼になってから感じる事のなかったくすぐったさを感じた気がした。
ミカ
「優しいだけでやってける世界じゃないのに優ちゃんと会うと調子狂っちゃうな〜」
優一郎
「はは」
こんな状況なのに僕の顔には笑みが浮かんでしまっている。
気がつくと優ちゃんのペースに巻き込まれてしまっているのは今でも変わらないらしい。
ミカ
「人間は人体実験してるし世界を滅亡させてるんだ。神だかなんだか知らないが、禁忌を冒した人間は罰を受けてる」