第21章 囚われの天使
優一郎
「おおー、で?」
ミカ
「グレンが薬を打って心臓を動かした」
僕の説明を聞いても優ちゃんは落ち着いている。
だから僕も怒りそうになるのを抑えて冷静に話した。
優一郎
「お前怒った?」
ミカ
「ああ、グレンは殺したよ」
もちろん殺してなんかない。
それでも一瀬 グレンは殺されてもおかしくない事を優ちゃんにしている。
優一郎
「はは、嘘つけ」
ミカ
「嘘だけど…」
優一郎
「やっぱりな」
それでも優ちゃんには分かってもらえないからもう殺すべきだとは言わない。
ミカ
「はい、服」
優一郎
「お、ありがとな」
だからこの事には触れずに預かっていた軍服を優ちゃんに渡した。
それを受け取ると、すぐに優ちゃんは着替え始める。
優一郎
「みんなは?」
ミカ
「寝てる」
優一郎
「今何時?」
ミカ
「夜中だよ。3時くらい」
着替えている間に簡単な質問に答えていると、すぐに優ちゃんの準備が終わった。
ミカ
「じゃあ行こう」
優一郎
「どこに?」
ミカ
「上、ここは地下なんだよ」
そう答えてエレベーターへと早足で向かう。
何せここは人体実験をしている研究所。
この近くのフロアで実際に人体実験をしているのを見てから、ずっと早く出たかった。
優一郎
「………」
無意識に急いでしまう僕の足。