第21章 囚われの天使
珍しく恥ずかしがる私に嬉々としてからかってくるフェリド。
これ以上からかわれるのは全力で拒否したいので、逆ギレの様に話を戻す。
フェリド
「んー、別に変わってないかな」
「あ、そっか…」
つまり人間の血を飲んでもこれ以上変化する確率は低いという事が分かった。
ただ逆に言うとあんなにも危険な目にあったのに分かった事はそれだけしかないとも言える。
「…結局何も分からないままか」
期待はしていなかったが、残念に思ってしまうのは仕方がないだろう。
でもこの異常な現象をそのままにはしておけない。
「他に調べる方法は?」
フェリド
「ないよ。これ以上は解剖でもしない限り無理」
いくら調べたいと言ってもそれは嫌だ。
解剖されて生きているのならまだいいが、死ぬ可能性もあるのにそんなリスクは取りたくない。
だから私にできるのは日本帝鬼軍に捕まらない様に生きていく事だけだ。
そうすればいつか絶対に知る機会が来ると信じて。
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(ミカside)
地下の研究所で眠り続けていた優ちゃん。
そんな彼の瞳がようやく開かれた。
優一郎
「…俺、暴走して暴れたの?」
声はしっかりしているし、眠る前の事も覚えている。
不安なのは変わらないが、ちゃんと目が覚めた事に少しだけ安心できた。
ミカ
「ううん。キ・ルクと戦った後、倒れて心臓が止まった」