第21章 囚われの天使
クローリー
「でも流石のフェリドくんも君の血の匂いがしてからは焦ってたよ」
フェリド
「あれは驚くでしょ」
「そういえばすぐに来てくれたね」
あの時、私が意識を保っていられたのは2人が想像以上に早く来てくれたからだ。
今更ながら普段は澄ましている2人が慌ててくれたのには少し驚いた。
フェリド
「最悪血を飲まないで帰ってくるかと思ったら全く違う事がおきてるからね。やっぱり君は退屈しないよ」
いつもの笑顔に見えるが、どこかいつもより楽しそうに見える。
つまり退屈していないというのは本当なのだろう。
そして私はフェリドの思惑通り、少しだけ深夜の血を飲んだ。
2人は何も言わないが、変化はあったのだろうか。
「今の私に変化ある?」
フェリド
「え?人間の血飲んだの?」
「少しだけ」
フェリド/クローリー
「………」
私が血を飲んだと知らなかったらしい2人は私の事を観察し始めた。
それも頭のてっぺんから爪先までじっくりとだ。
「………」
あまりにも見てくるので恥ずかしい。
思わず顔を逸らしてお兄ちゃんの服に顔を埋めると、その行動にフェリドが反応した。
フェリド
「あは、アリスちゃん照れてる〜」
「うるさい」
フェリド
「みんなが見たらギャップで驚きそうなくらい可愛いね〜」
「…そんな事いいから結局どうなの!」