第21章 囚われの天使
そんな疑問に答えたのはフェリドだった。
でも私は気を失った事までしか覚えておらず、お兄ちゃんの血を飲んだ記憶などない。
「………」
可能性があるのは血の渇きに耐えられずに無意識に飲んだという事くらいだ。
クローリー
「フェリドくんが無理矢理口に流し込んだんだよ」
そんな事を考え始めた時、何も言わないフェリドを見かねたお兄ちゃんがそう教えてくれた。
「無理矢理…?」
フェリド
「………」
無理矢理とは一体どういう方法を取ったのか。
それも聞こうとしたが、ニヤニヤしているフェリドの顔を見て聞くのをやめた。
フェリド
「こうなる様に仕向けたのは僕だけど可愛いアリスちゃんが鬼になっちゃうと困るからね。無理矢理にでも飲まさせてもらったよ」
「…ちょっと、仕向けたって?」
フェリド
「あは、気になるー?」
注意して聞いていないと流れてしまいそうな今の発言だが、私は聞き逃さない。
追求する様に見つめると、フェリドは楽しそうに近づいてくる。
フェリド
「アリスちゃんの目が変わったのは柊 深夜の血を飲んでからだろう?」
「そうだけど…」
フェリド
「だからもう1回人間の血を飲んだらどうなるかなーって」
「………」
すぐ目の前まで来て私の目元を擦りながら白状したフェリド。
彼の言い方ややり方に不満はあるが、確かに言う事は一理ある。