第8章 貴族の遊び
部屋には肉が切れる嫌な音と共に男の子のか細い声が響く。
血を吸い尽くされてしまい、私達が振り向く頃にはもう死んでしまっていた。
それ程までにフェリドの速さは凄まじい。
フェリド
「あれ?一気に吸ったらもう死んじゃった」
子供の血液量は約2ℓ。
血を主食とする吸血鬼にはあっという間に無くなる量なのだろう。
興味が無くなったのか失血死してしまった子供を捨てるフェリド。
それを見た瞬間、優ちゃんの顔が怒りに染まった。
優一郎
「くっ…そおぉぉ!!」
叫びながらフェリドへと銃口を向け、撃つ。
だが、余裕の表情で呆気なく避けられてしまう。
ミカ
「だめだ!この距離じゃあいつには当たらない!」
優一郎
「嘘だろ!?」
フェリド
「あは、君達は今までの子達より面白いね…」
距離があれば拳銃も使えない。
かといって距離を詰められるわけでもない。
フェリドは私達が焦るのを見て楽しそうに笑っている。
フェリド
「そんな君達にもう1つ希望をあげようか」
この絶望的な状況の中、希望があるというのか。
それともからかっているだけなのか。
フェリド
「その地図は本物だからその後ろの道を走れば外に出られるよ」
ミカ
「!」
後ろを見ると目指していた出口。
フェリドを信じるならば、あそこを通れれば逃げられる。