第21章 囚われの天使
この2人も家の事で散々振り回されてきたのだろうか。
諦めに近いその声は少しだけ悲しそうに感じた。
変な空気にしない為に答えやすい事を聞いたのに結局重い空気になってしまった。
このままでは真昼の事を聞きにくい。
「学生の頃チームを組んでたって事は歳は一緒?」
だから自然に次の質問へと移る事にした。
深夜
「ん?ああ…みんな今年で24歳になるよ」
この空気感を敢えて無視した私に一瞬戸惑いながらも答えてくれたのは深夜。
「じゃあチームを組んで結構経つんだね」
深夜
「そうだね」
深夜は懐かしむようにゆっくりと目を閉じた。
他の2人も穏やかな表情をしている為、チームの関係は良好で楽しかったのだろう。
でも彼らはグレンを残して死んでしまった。
1度死んだ様には見えない3人。
そして彼らを蘇生させる代償として世界は滅亡した。
果たして彼らは世界を滅亡させてでも必要な人物なのか。
滅亡したせいで人間としての人生をめちゃくちゃにされた私ならそれを判断し、壊す権利があるのではないだろうか。
「…グレンの話を信じるなら、だけど」
小さく呟いた私の声が聞こえた人は誰もいない。
グレンの話もどこまでが真実なのか分からないし、何よりフェリドと組んでいた時点で信用できないのは確実だ。
だからこの事は慎重に動かなくてはいけない。