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罪と罰【終わりのセラフ】

第21章 囚われの天使




でもそれだけで無駄に殺したりはしない。


「吸血鬼に支配された状況なのに欲に溺れて自分より弱い者を襲う。最低だよ」


体が震えそうになるのを堪えて吐き捨てた。
今ならあの時襲ってきた彼らより私の方が強い。
それでも恐怖というものはしつこく付き纏ってくる。


君月
「それを助けたのが優だって事か」

「…そうだよ」


みんなが言葉に詰まる中、微かな怒りを目に宿しながら君月が私に確認した。
彼は妹がいるらしいからもし妹がそんな目に遭ったら、などと考えたのかもしれない。


「でも結局優ちゃんは殴られちゃって、ミカのお陰で助かったんだけどね」

与一
「…優くんらしい」


私のそんな一言で重くなっていた空気が少し和らいだ。
でもこの話はこれで終わり。


「じゃあ次は私の番」


ここまで話してあげたのだ。
吸血鬼の情報は話すつもりはないし、これで充分だろう。


「私が知りたいのはグレンについて、あなた達について、そして…」


そこで言葉を止めると、深夜へと目を向ける。


「真昼」

小百合
「…っ」


主に深夜に向けて言ったのだが、1番反応を見せたのは小百合だった。
表情や反応から真昼という人物に好意的でないのは明らかだ。


「彼女は何者なの?」

五士
「………」


五士が深夜の様子をチラリと見る。
多分彼がいいと言わない限り教えないつもりだろう。
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