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罪と罰【終わりのセラフ】

第21章 囚われの天使




「優ちゃんはね…お人好しだったの」

君月
「…まあ、そうだな」


君月は私の脈拍の無い返答に困惑した表情を見せながらも相槌を打つ。


「地下都市は自分を守りたかったら人を切り捨てるのが当たり前な世界。なのに優ちゃんは助けに来てくれた」

五士
「つまりアリスちゃんは最初の仲間に切り捨てられたって事?」

「そう、私が襲われてる間にみんな逃げちゃった」


今でも鮮明に思い出せる。
助けて欲しくて叫んだ私の目に入ってきた逃げて行くみんなの後ろ姿。
友情や仲間意識が無いとはいえ、3年間も一緒に過ごしたのだからさすがにショックだった。

多分、その事は吸血鬼になった今でもトラウマとして残っている。
だからそう簡単に人を信用できなくなっているのかもしれない。


与一
「でも僕は逃げちゃった子の気持ちが分かるかも…」


そんな昔の苦い記憶を思い出していると、与一がポツリと呟いた。


与一
「吸血鬼相手に人間は無力だから…」

「私を襲ったのは人間」

君月/五士/小百合/深夜
「!」


仕方がない、そんな言い方をした与一の言葉を遮るように否定する。
他の人達も襲った相手は吸血鬼と思っていたようで目を見開いていた。


「吸血鬼は私達の事を家畜扱いするけど反抗しなければそれ以上は何もしない。でも人間は違う」


吸血鬼は地下都市で保護した子供から血を貰う。
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