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罪と罰【終わりのセラフ】

第21章 囚われの天使




深夜
「本当に何も覚えてないんだね?」

「うん、10歳より前の事は殆ど」


これは紛れもない事実だ。
何故それより前の記憶がないのかは私ですら分からない。


深夜
「覚えてる中で1番昔の記憶は?」

「………」


昔の事を思い出そうと、目を閉じて集中する。
優ちゃん達と出会うずっと前、私は何をしていたのか。


「…気づいたら地下都市にいた」


結局、記憶を遡っても思い出せたのはそこまでだった。


深夜
「地下都市に連れて来た人とか両親の記憶は?」

「…ない」


母親や父親の記憶は私の中に影も形もない。


「地下都市でたまたま居合わせた子達と一緒に暮らしてた事が1番最初の記憶」

与一
「じゃあアリスちゃんにも仲間がいたんだね」


優しい笑顔を見せながらそう言った与一。
でも地下都市にそんな綺麗な関係はほとんどない。


「違うよ」

与一
「え?でも…」


それを知らない与一は不思議そうな表情を浮かべた。
きっと優ちゃんが話したであろう地下都市の生活が普通だと思っているのだろうが、優ちゃんはまだ恵まれた方の子供。

地下都市で生活する小さい子達は基本的に疑心暗鬼で吸血鬼だけでなく、自分より大きい子達にも怯えて暮らしていた。
だから仲間意識なんてものは存在しないし、何かあったら平気で切り捨てる。


君月
「優とはどうやって知り合ったんだ?」
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