第21章 囚われの天使
やはり五士に頼み事をしたのはグレンで間違いないようだ。
だから探索の話をしていた時グレンは話に入らず、止めもしなかったのだろう。
五士
「やっぱ賢いなー、バレちまった」
感心しているように聞こえるが、彼の態度は飄々としている。
どうやら私が察する事ができる状況をわざと作り上げたらしい。
そうすれば自分から話したのではなく、私が自分で当てたという事にできるからだろう。
「…いい性格してるね」
五士
「はは、どうも」
呆れそうになるが、本当に罠ではないようなので警戒を解く。
プレッシャーから解放されたからか、人間達の表情も少しだけ和らいだ。
「で、何を知りたいの?」
深夜
「答えてくれるの?」
「フェリドが何も言わなかったから答えてあげる」
フェリドなら彼らの目的を何となく予想できていてもおかしくはない。
なのにフェリドは一切釘を刺してこなかった。
それなら好きにしていいはずだ。
五士
「じゃあグレンとの関係性は?あいつ教えてくれなかったんだよなー」
「知らない」
五士
「は?」
早速質問をしてきたのだが、生憎彼の望む答えは持ち合わせていない。
寧ろ私が知りたいくらいだ。
五士
「いやいや、知らない相手の事を知りたがる奴がいる!?」
「だから私は、知らない」
五士
「あーなるほど」
私は、と強調すると合点がいったようだ。