第20章 力の制御
フェリド
「ねぇ、アリスちゃん」
「…なに?」
フェリド
「生きてる人間が羨ましいねぇ」
フェリドはわざわざ名指しで言ったが、どういうつもりなのだろう。
小鳥遊 アリスという人間を殺し、吸血鬼にしたのは彼だ。
煽っている様でもない為、私に言う理由が全く分からない。
「………」
フェリドの視線の先にいるシノア、三葉、君月、与一、そして優ちゃん。
私が失った普通に死ぬ権利を持った人間達。
「…!」
複雑な気持ちを抱えて視線を逸らすと目に入ったの2人の表情。
その表情はつい驚いてしまう程に穏やかだった。
クローリー
「…で?」
今の話の流れで何故その様な表情になるのか分からずにただ見つめていると、私の視線に気づいたお兄ちゃんが話を変える。
それにより2人はいつも通りに戻ってしまった。
クローリー
「僕ら反逆者になったわけだけど、これからどうなるの?」
フェリド
「もっかい大戦争だよ」
「大戦争?」
笑顔で紡がれた物騒な言葉を思わず繰り返す。
フェリド
「そうだよ。渋谷に戻って人間達と合流してー」
クローリー
「で、吸血鬼達と戦う?」
フェリド
「え?」
フェリドの言葉を引き継ぐように言ったお兄ちゃん。
だがフェリドは不思議そうに首を傾げた。
フェリド
「なんで吸血鬼と戦うの?僕ら吸血鬼なのに」